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吉田直弘総括質問(12月8日)物価高騰対策、埋蔵文化財の活用について

2022年第4回定例会が、12月15日に閉会しました。本定例会から議場は新議会棟での開催となりました。新しいマイクとスピーカーはさすが、音をよく広い話がしやすかった。新たに映像を用いて質問できるようになったので、新機能も使ってみました。


今回は、物価高騰下における支援の強化を、①プレミアム付き商品券の発行、②介護サービス利用者への支援、③住宅リフォーム助成制度の創設、④小中学校での学校給食費無料化、⑤小規模農家への支援について質問し、さらに本市における出土した文化財の収蔵施設の確保と埋蔵文化財を多くの市民にも見てもらえるよう活用方法の検討を求めました。


感想として、物価高騰下の支援関係では当局の様々な問題意識も伺うことができました。答弁は慎重なものが多かったのですが、市民の暮らしを守り抜く強い決断をもって市長には市政にあたっていただきたいと思いました。文化財については、収蔵施設がすでにキャパいっぱいになりかけている中で問題意識の共有を図ることができました。そしてうれしかったのが、文化財の研究と整理が一体に行える博物館の検討について言及されたことです。

国府の地前橋の研究や市民の中での歴史的理解が進むことは大変重要だと思います。ぜひ多くの市民が出土した遺物に触れて歴史について考えるきっかけづくり、生涯学習の拠点となるような施設について、私も研究していきたいと思います。写真より下が質問原稿と質問で使用した写真です。



1、はじめに、コロナ禍、物価高騰下における市民生活への支援について質問します。

相次ぐ商品の値上げで、生活や営業への支援を求める切実な声が寄せられています。年明け後の値上げ予定品目は4000を数え、平均17%の値上げが予定されています。暮らしと営業、農業を支える更なる支援が必要です。それぞれ質問いたします。


(1)はじめに、プレミアム付き商品券の発行についてです。

①事業は、主に国の交付金を使い予算22億7500万円で実施しています。紙の商品券で誰もが利用しやすいものにしたことは評価します。しかし、11月16日現在、応募状況は55,766世帯、全世帯の約4割にとどまり、「午後や休日の販売期間が限られているので、買いに行く時間がない」という声も寄せられました。市民の暮らしを本気で支えようという姿勢が求められています。現状と課題について伺います。


 本市のプレミアム付商品券室のホームページには「土日祝は販売しません」とあります。市民は正確な情報が十分に周知されないまま、第2次募集の期限を迎えてしまったのです。追加の支援に取り組むべきです。

 

②市民の間で高崎市民商品券が話題です。高崎市は、総額約20億円の事業のうち、国の交付金約16億円、同市の独自財源4億円で、全市民約37万人に5000円分の商品券を交付しました。前橋市民の方から「高崎市のような支援を」という声がいくつも寄せられます。次の臨時交付金が出た際は、高崎市のように現金同様の商品券を発行し、全市民への支援をすべきと考えますがいかがでしょうか。

 これだと所得の低い人は買えません。高齢者は、医療費の負担が2倍になり、更に年金も下げられ非常に厳しい生活を強いられています。3000円のプレミアムをもらうには1万円の支出が必要なので商品券を買うことが難しいのです。今度は、市民の消費を支える立場からの検討を求めます。


(2)次は、介護サービス利用者への支援についてです。

  家族の介護を行う方から「介護用おむつが24枚入りで3000円もかかる」「介護サービスの利用料負担が重い」など、支援を求める声は切実です。介護サービスの利用抑制を防ぎ、必要なサービスを提供し続けるため、利用者への負担軽減の支援は待ったなしです。滋賀県草津市では、認知症高齢者などを対象に居宅サービスへの支給限度額を、要介護1は39,680円から要介護5は56,960円、独自に上乗せしています。埼玉県越谷市では、介護保険料第1段階から第3段階を対象に、居宅サービスと地域密着型の介護予防を含む介護サービス費の利用料への助成を独自施策で行っています。本市でも、介護サービスの負担を軽減する支援をすべきと考えますがいかがでしょうか。

 ご家族の介護のために仕事を辞め、非正規採用の不安定な収入で厳しい生活をする方も少なくありません。老々介護のご家庭では、少ない年金で、介護と家計の両立が厳しく、お金にも心にもゆとりがない状況です。いま国は保険料の引き上げ、利用料の2割負担導入、軽度者の介護外しを議論していますが、国に対し反対の声を上げるよう強く求めます。


(3)次に、住宅リフォーム助成制度の創設についてです。

 市内の建設事業者も、資材の高騰の影響を受け、厳しい経営を余儀なくされています。コロナ禍で、廃業に追い込まれた一人親方も少なくありません。本市の基幹産業でもある建設業を支えることが必要です。県内では、高崎、太田、伊勢崎、渋川、沼田の各市が住宅リフォーム助成を行っています。

本市では外装改修を補助していますが、2021年度は1384万円、146件を補助し、経済波及効果は約1億4600万円、10倍以上でした。

先日、リフォームを中心に仕事をしている市内の大工さんに話を伺いました。埼玉県では多くの自治体が住宅リフォーム助成制度を行っていることもあり、元請会社から仕事の依頼を受けることも多く、行き帰りで3時間かけて仕事に通っていました。「ぜひ前橋でもリフォーム助成を実施し、市内で仕事がしたい」とご要望がありました。

 住み慣れた家に住み続るため、リフォーム促進は重要です。外装に限らず、補助の対象を広げるべきです。市内業者を支える観点からも、住宅リフォーム助成制度の創設を求めます。いかがでしょうか。

 市内の建設事業者も、燃油や資材高騰の影響で経営は瀬戸際に立たされているところも少なくありません。事業が継続できるよう、しっかり支援すべきです。


(3)次に、小中学校の学校給食費の無料化についてです。

重すぎる教育の負担軽減を求める願いも切実です。価格高騰の影響で家計が厳しく肉や野菜、おやつを減らす家庭もあります。バランスの取れた食材や食事を選ぶことが困難な家庭もあります。いまこそ学校での食育の推進が重要です。

子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、食育が重要であると、食育基本法の前文にも書かれています。

 本市では、小中学校同時に通う学校給食費の第3子以降の無料化を全国に先駆けて実施しました。ところが現在は完全無料化の実施自治体は、全国254市区町村に広がっています。今年度から中核市の青森市、新年度より葛飾区が実施し、県内では、みどり市や渋川市が先駆けて実施、太田市は来年4月から実施します。昭和村や川場村では、交付金を使い半年間の無料化を開始しました。

本市では、所得の低い世帯には生活保護や就学援助で対応していると答弁されてきましたが、そこに限定せず、無料化を拡大すべきです。いかがでしょうか。

教育部局の答弁はいただきました。やはり子どもの予算を抜本的に増やすためには市長の姿勢が問われていると思います。 


②そこで、市長に質問します。学校給食費の無料化の取り組みは、本市は大変遅れた自治体になりました。子育て世代にとって住みやすいまちづくりをすすめる上でも、学校給食費の無料化は大変重要です。参議院の委員会で文部科学大臣は、学校給食費を自治体が独自に無料化することは問題ないと答えました。実施自治体は、どこも一般会計の1%で実施しています。本市の場合は約14億円です。子どものための予算を増やし、学校給食費の無料化を前に進めていく政治決断をすべきと思いますが、いかがでしょうか。

ぜひ市長は、県とのパイプも生かして、県に実施を迫ってください。県と折半すれば7億円で実施できます。心から要望します。


(4)次に、小規模農家への支援についてです。

肥料、燃料、飼料が軒並み高騰し、米価など農産物価格が低迷し、本市の農業経営も非常に厳しい状況です。全国でも経営難、離農の原因となっています。食糧自給率は37%、史上最低を更新し続ける中、農業の担い手の減少は深刻です。農業従事者を支える一層の施策の充実が必要です。

本市の総農家数は、2005年の8,435戸から2020年には5,713戸へ2,722戸も減少し、農家人口は21,933人から7,175人へ14,758人も減少しました。 

農林水産省の「農林業センサス」によると、農業の中心的な担い手である本市の「基幹的農業従事者」は3632名で65歳以上が約72%を占めています。

政府は、農業の大規模化と集積化を進めてきました。いま大規模経営の担い手も高齢化し、後継者不足で営農断念に追い込まれる事例が増えています。大規模化には限界もあります。本市の農業は、圧倒的多数の家族農業を中心とした小規模農家が支えています。現在、小規模農家を支援対象にしていない肥料の購入支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 大規模農家、小規模農家ともに、燃料も飼料も高騰するもとで、従来の枠にとらわれない支援が必要です。制度の改善を国と県に強く求め、本市独自の支援を行うよう求めます。


2、次に、文化財の保存、管理、活用について伺います。

(1)はじめに、鳥羽収蔵庫の現状と課題についてです。

本市には、富士見、粕川、宮城、鳥羽町に文化財収蔵施設があります。重要遺物は総社町の文化財保護課本館で管理します。鳥羽収蔵庫は、旧市内の出土遺物約2万ケースを収蔵する市内最大の収蔵施設です。映像をお願いします。(写真1)写真を交え紹介します。土器などの遺物を収めるケースが積みあがっています。同収蔵庫では、出土した土器などの遺物、民具、発掘調査報告書や図面、写真を管理しています。収蔵スペースは、ケースがぎっしりと詰まっており、すでに余裕がほとんどありませんでした。(写真2)モニターの映像は私です。わたしの身長は約170センチです。積みあがったケースは15段、2メートルを越えます。中に入っているのは土器など重い遺物が中心ですから、地震などで倒れたら危険です。

土器を洗うのには水が必要ですが、建物内には水道がなく、外水道からホースで水を引いています。施設はエアコンがなく、夏の猛暑の中での作業は大変危険です。同収蔵庫の施設の就労環境の改善とともに、新たな収蔵施設の確保の検討が必要と思いますが、現状と課題について伺います。

先日4人の非正規職員の方が、出土資料を整理していました。かけら一つ取り残さよう、丁寧に管理されていました。一人一人の職員が、働きやすい労働環境づくりを強く求めます。


(2)次に、収蔵資料の活用について伺います。 

 本市には、いま人気のぐんまちゃん埴輪といわれる馬型の埴輪のほか、大室古墳群の前二子古墳から出た、石見型埴輪という近畿地方や瀬戸内海沿岸を中心に見つかる埴輪。蛇、鳥、蛙の飾りがついた朝鮮半島南部にルーツを求めることができる渡来文化の影響を受けた希少な筒型土器など、全国的にも有名な遺物がたくさん出ています。旧石器時代から近現代に至る豊富な資料があります。

これらは、多くの市民には知られていないものが多いのが現状です。土器や遺物を通して地域の成り立ちを学び、地域への愛着を醸成することができます。これらの資料は、多くの市民の発掘調査への協力で見つかりました。できるだけ多くの市民の方々に貴重な遺物を見てもらえるよう、収蔵資料の活用の検討が必要と思いますがいかがでしょうか。

ぜひ審議会などの専門家の方の意見も聞き、検討を進めてください。文化財は国民共有の財産として、適切に保存し、多くの市民と共有することで、その価値を高めることもできます。文化財の保存と活用の両方の観点から、収蔵資料の活用方法の検討を進めるよう強く求めて、私からのすべての質問を終わります。


以下は、質問で使用した写真です。

写真1 収蔵庫いっぱいに積みあがる出土遺物の状況(鳥羽収蔵庫の中)

写真2 出土遺物を管理するケースは最大15段まで。2mを超えます。 わかりにくいので、写真には手書きで手を加えました。


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